オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
いや、けれど、本当に奈々と純平は一緒にいることが多く、冬休みが明けてからは特に……思い返せばクリスマスの辺りから、ちょこちょことつき合いが悪くなってきていたのだ。
ひょっとすると、まさかのまさかで、バスケバカでゴリラで単細胞、と、散々奈々に言われてきた純平が、恋を実らせたのかもしれない。
春とは、意外とこういうものでもある。
恋をはじめるには、なかなかいい季節だ。
「俺、今日はオトコの娘の気分なんだけど、純平たち、びっくりしないかな?」
適当にファンデを塗りたくっていると、鏡の後ろに立った葉司が、すでにハンガーにかけた服を持って、そんなことを聞いてくる。
最近購入した、プライベートでお出かけするとき用の服で、着るのは今日が初めてだ。
……てか葉司、本当は着てみたいんでしょ?
「葉司には変わりないよ。オトコの娘で行こ」
「うん!!」
ほんっと、葉司には手が焼ける。
あたしも奈々も純平も、オトコの娘込みで葉司が好きなことを知っていながら、わざと聞いてみたりして、若干、性格変わった?
それはさておき。
「早く行こう、愛菜。奈々に、30分で行くって言っちゃったの。急がないと怒られるっ!」