オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

　
しかし、そんな攻防戦も終わりを迎える。

メルさんはこめかみをピクつかせながらも竹山に恭しく一礼し、竹山もまた、シニカルな笑みを作りながらも軽く会釈を返す。

どうやら、戦いは引き分けのようだ。


「何なんだろうね、あの竹山って人……」

「うん。まさか愛菜が前から狙われていたなんて、あたし、知らなかった。どうしよう、急に葉司の身も心配になってきちゃったよ」

「それ、激しく同感。……マコ、どうする？　今からでも葉司君とヨリ戻す？」


再び愛菜に笑顔を向け、何事もなかったようにおしゃべりの続きをはじめた竹山をこっそりと盗み見ながら、ひそひそと感想を述べあう。

すると奈々が、ヨリを戻すか、などと真顔で聞いてきて、あたしは思わずプッと吹き出しながら、ないない、と首を振った。


だから、もう彼女でもなんでもないあたしが出しゃばることじゃないってば、奈々。

メルさんも逐一対処してくれているし、愛菜本人が特に気にしていないのであれば尚更、あたしが無理に首を突っ込むべきじゃない。

いいのだ、これで。

あたしは。


「奈々もあんまり首を突っ込まないでよ？　第一、愛菜に内緒で来てるんだから」

「分かってるよ」