赤い糸の約束






「-ッ」




足下の何かに躓いて視界が変化する。



こけるー…




と、思った瞬間、誰かに抱きとめられた。



「ッ…」



ふわりと長い髪が私の頬を撫でた



私の肩を抱く腕、その力、耳元で聞こえる彼の呼吸。




「平助ッー…」




身体を回転させて彼の首に抱きついた。



彼も私の背中に腕を回してくれる。



久しぶりの温もりに涙が溢れた。


欲しくて欲しくてたまらなかった。


抱き締めて欲しかった、その腕に、



「月華ッー…」



囁いて欲しかった、その大好きな声で、




「平助ッ」



もう一度彼の名を呼ぶとそれに答えるようにギュと抱き締めてくれている腕に力が入った。


私も離れたくないと言わんばかりに彼の衣服をキュと握り締める。









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