不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
このまま、うずくまっていても仕方がない。俺は、部屋着に着替えてベッドに横になった。

ほのかが心配して突然寝室を訪れてしまったら…

さっきの状況は非常にまずい。ほのかが悪いわけではないのに、おそらく怯えさせてしまう。


でも眠気が来るはずもなく、頭の中は声の事でいっぱいだった。

今さっきのはほのかの感情を読んだわけではない。

ほのかの深層心理に誰かが、

俺へのメッセージを残していたものがこちらに無理やり流れ込んできた…

そんな感じだった。


あの声は間違えない。聞き違うわけもない。今頃になってなぜ?

俺にとってはそれがまず一番に浮かんだ。

あいつは死んでいるはずなのに、失踪宣告を受けてからずいぶん時間が経過しているのに、

なんで今頃になってこんなものが聞こえるんだ?

今更何なんだ?まだ俺たちを、ほのかを苦しめて縛るのか?


そんなことを瞼を閉じたまましばらく考えた。


考えに考えに考えても…

何か俺が納得できるような答えに行きつくはずもなかった。


目を開け時計を見ると、あれから1時間ほど経っていた。

これ以上考えても…

いや何時間何十時間考えたって答えなんか出るわけがない。

そのことを後回しにするしかない。

俺は気持ちを落ち着けてとりあえず普通に過ごそうと心に決め寝室を出た。


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