不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
その夜私は夢を見た。

学生時代の夢。

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眞人と初めて2人で過ごした夜。最初で最後の夜。

ふと夜中に布団の上で目を覚ました私は、

カーテンの端から月の明かりが差し込むのが見えた。

窓を開けると美しい満月が見える。

彼に

「月、きれいだね」

とつぶやくと、

「君の方がもっときれいだよ」

そう言ってキスしてくれた。


でもおかしい。

現実のあの日には雨が降っていて暗かった。

だから月なんて出ているわけがないのに…

これが夢だということに気が付いてしまう…

その途端に、視界が歪み、あの手紙が出てきて…

まただ、嫌だ!!!この夢は。

悪魔が私に向かって囁く。

お前はひとりなんだ。

お前は捨てられたんだ。

お前に魅力がなかったんだ…

『違う!!!!!』

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がばっと起き上がる。あたりは暗い。隣には大希さん。

眞人の夢なんて…


手紙の夢は、いなくなってからしょっちゅう見た。声は必ず私を罵る。

これを見はじめると眠りにくくなり、精神的に不安定になる。

昨日のせい?

私は不安な想いを抱えたまま、仕方なく再び眠りについた。
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