不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…選択

「選択肢?」

「養子縁組。それも一つの方法だろ?」

大希さんはいつもそうだ。

私のために、私以上にいろいろと考えてくれる。

養子縁組…

それも一つの手段かもしれない。

あの苦しみを乗り越えられずに家族が崩壊するくらいなら、

それも選択肢の一つにはなるはず。

でも実はここに今、瑞希の兄弟がいる。


私は視線を下げ、自分のお腹を見つめた。


そして、それは皮肉にも今日わかったことだ。

どうして、私の人生ってこうもタイミングが悪いことの

連続なんだろうか?

今まで人生の岐路でしてきた選択に後悔はない。

ただその歯車のかみ合わせがどうしようもなく悪い。


人が見なくてもいいものを見、

感じなくてもいいものを感じてきた。

それによって臆病になり意固地にもなって

しまったところもある。

物事を素直にまっすぐ見つめる視線を私は持てない。

どうしても色眼鏡で見てしまう。

疑って感じてしまう。


色々選択するときには、それくらい慎重でよかったと

思えるときもあったが、

もっとまっすぐ見れたら、感じられたら…

年月の流れと、自分の刻まれてきた苦悩を

その度に思い知らされる。




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