不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
「確かにそんな方法もあるよね…」

「おまえならもちろん知ってるよな?」

「うん。でもね。もう少し、もう少しだけ頑張ってみてから

そういうことは考えてみたい…」

「当然の返事だな。ただ、俺は無茶苦茶なことをしてほしくないだけ。

人生には色んな横道や回り道があっていいんだよ。

まっすぐ突き通すだけが能じゃない。

現状を把握して、何が最良かを選んでいけばいい。

お前だけが全てを背負って苦しむことじゃないだろう?

いろいろ調べて、知って、考えて、頑張って、それで焦らず

一緒に選んでいけばいい。

子どもについては俺にも口を出す権利はあるはずだろう?

二人で育んでいくものなんだから…」

「確かに、一人でどうのこうのって自分勝手だね。

時間はないけど、焦ってもいい結果は出ないし。

私も、とにかくまずは体を元気にするようにするね。

いろいろ考えてくれて…

本当にありがとう」

私は本当にそう思った。

ただし、心の奥底には誰にも言えない扱いの困る爆弾を秘め…

どこか釈然としない気持ちを抱えたままだった。


普段は勘のいい彼だが、私が何かを隠していることには、

その時なぜか運よく気づくことはなかった。
< 57 / 130 >

この作品をシェア

pagetop