不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】

…覚醒(慈希)

僕は3歳の誕生日を迎えた日、
突然相手を意識したら、
その人の記憶と言葉が
大量に頭に流れ込んできた。

びっくりして、相手に向かい


『「なに?」』

と心で思うと、
保育園の先生は僕の方に向かって
一瞬怪訝な顔をした。

これは、なんかおかしいこと
らしい。

それからというものの、
他人の心の中をたくさんのぞいた。


父の中には僕にとっては
受け入れることのできない事実が
秘められていた。

それを見てから、僕は父が嫌いになった。

それは、母の事が大好きで、
本当に大切だったから。

ライバルの兄には母の愛情を
取られたくなくて、
大人げなく嫉妬していた。


そして、母の中から、
それも本人は押し殺して
深層心理の中にあるものを
たまたま見た。

というか、おそらくある意思で
それをわざと見せられたのだろう。

その事実は僕の心に
複雑なものを持ち込むことに
なった。
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