不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
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…邂逅(かいこう)

今日は朝早くから出張で出かけていた。

私は今、小学校入学までの発達に支援の必要な子どもの

療育をする施設で働いている。

不妊治療をしているとき、経済的には困っていなかったが、

ずっと家にいるよりは少しでも外に出たらどうか?という大希さんの勧めで、

資格がなくてもよかったこの仕事をパートで始めた。

それまで全く経験はなかったし、卒業した大学は経済系の学科だったが、

子どもに関わってみたかった。

いくら生活はできても不妊治療はお金もかかる…

私自身が働いたお金が治療に役に立つなら、

なおいいかもという軽い気持ちだった。


でも、私はこの施設に勤めてしばらくして、

これを一生の仕事にしようと思ってから、

無資格であることが恥ずかしくて、色々な資格を取った。

子どもを抱えて、仕事、家事、資格の勉強は大変だったが、

何か根拠のある専門職として誰かの役に立ちたかった。

何より、大希さんの協力があったからこそ、そうできたのだと思う。

「それは君の努力のたまものだよ」

とほめてくれるが、私は家族みんなで取った資格だと思っている。


この仕事は、人が相手の仕事なので、これでいいということはない。

日々勉強することは欠かせないと思う。
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