キミと生きた時間【完】
あたしは何とか息を吸い込んで言葉をつむぐ。
「謝るなって言われるのに慣れてなくて……。いつも謝れって言われてるから」
ゴシゴシと涙を擦って顔を上げると彼は眉間にしわを寄せた。
「何だよそれ。誰があんたに謝れっていうわけ?」
「友達」
「何で友達があんたに謝れっていうわけ?」
ああ、ダメだ。
抑えようとすればするほど、涙が溢れてくる。
さっきまでのようにうまく言葉を発せられない。
喉の奥に言葉が張り付いたままでてきてくれない。
彼は涙を流すあたしの腕をそっと掴んだ。
「……――ちょっと来い」
そして、そのままあたしの腕を引っ張ってゆっくりと歩き出した。