キミと生きた時間【完】
ここはどこだろう……。
彼に連れられてやってきたのは、入り口に立ち入り禁止というロープのかかったさびれた神社だった。
主を失った神社の周りには雑草が生い茂り、まだ外は明るいというのにこの場所だけどこか薄暗い。
普段だったら絶対に立ち入ることのない場所。
だけど、静かなこの場所は何故か居心地がよく、ホッと心が安らいだ。
「ほら。これ飲め」
「……ありがとう」
慣れた様子で境内の階段に腰かける彼。
あたしがその隣に腰を下ろすと、彼は自販機で買ってきてくれた缶ジュースをすっと差し出した。
お礼を言ってジュースを受け取り口に含むと、少しだけ気持ちが落ち着いた。