キミと生きた時間【完】
ちらりと隣に目をやると、彼は黙って缶コーヒーを飲んでいた。
あたしが涙を流した理由を彼は無理に聞こうとはしていない。
興味がないからって言われればそれまでだけど、何でかそんな気がしない。
無理強いしない彼の優しさが今のあたしにとって心地のいいものだった。
「……ねぇ、宇宙君」
「つーかさ、マジで宇宙君(うちゅうくん)って呼ぶ気か?」
隣に座る彼に話しかけると、彼は露骨に嫌そうな顔でこちらを見た。
「さっき『好きにしろ』って言ってたでしょ?。宇宙君って呼ばれるのってやっぱり嫌?」
「そんな意味不明な名前、喜ぶ奴なんていないだろ」
「じゃあ、なんて呼んだらいいの?」
「めんどくせぇ……。勝手にすればいいだろ……」
「そんな嫌そうないい方しなくても……。じゃあ、もう少し仲良くなったら名前教えてくれる?」
「……――さぁな」
はぐらかしてばっかりの宇宙君。
「ねぇ、宇宙君は……学校楽しい?」
そう尋ねると、宇宙君は視線を手元の缶コーヒーに落として首を横に振った。