結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
私が脱力して崩れ落ちそうになったその瞬間

腰に添えられた腕に力がこもり、グイッと私を支えながら引き寄せた。

でも、こんなことになったのは、全部あなたのせいじゃない。

ねえ、みずき君…

その時腰だけでなく、私は彼の腕の中に閉じ込められ、

顔を塞がれ胸に埋まる形になった。


元々、「誓いのキスはなし?!」という何気ない言葉から始まり、

最後には同僚たちの

「キス!キス!!」のコールが巻き起こり、

結果いつもなら絶対そんなことをしないみずき君なのに…

なぜかこんなことになっている。


ヒューヒューという冷やかしや

「ご両人、結婚してからずいぶん経つのにお熱いねぇ~」

アルコールの勢いに任せて好き勝手な事を言っている。



「ごめん…

ちょっとやりすぎ?いくらなんでもこれ以上かわいいひなさんは、

もう誰にも見せたくないからしばらくこうしていて…」

それから彼は私の熱が落ち着くまでしっかりと抱きしめていた…


ばか。なんでこんなことをするの?

なんで人前で…

見せたくないなら最初からこんなことしなきゃいいのに…

彼が何を考えているのかわからなかった。

それが彼の独占欲と嫉妬からの行為だなんて、私には理解できなかった。
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