溺愛ヤンキーくん



そんなのやだ。




だから秋川皇雅達には嫌いになってもらおう。




それでいいんだ。




それで…




「……おい。優なんで泣いてるんだ?頭打ったか?」


「………え?」




いつの間にか戻ってきていた秋川皇雅に“泣いている”と言われて目元を指で軽く触ってみた。




「…あ…」


「な?お前なんで泣いてるんだ?」


「…いやっ…違っ…くて…これはその…」


「また何か背負おうとしているのか?」


「違っ!!」


「…お前は俺に頼っていればいーんだよ」


「…だって…」




そんなの無理。




人に頼らずに生きてきたあたし。



今さら頼れとか言われても無理に決まってるでしょう?




あたしは頼り方がわからない。




それにあたしは秋川皇雅に心を開いた訳じゃない。




「……だって何だよ」


「…あたしは頼り方がわからないっ…」


「……うん」


「…それにっ…あんた達が死ぬかもしれない…」


「…それでもいい。俺らはお前を助けたい」




そんなの…




お前らにメリットなんてない…




あるのはデメリットだ…





「…メリットなんてないんだぞ?」


「…いや。ある」


「…なに?」


「………お前の………

















心だ。助ける代償としてお前の心を貰う。それでいいだろ?」


「……は?そんなの貰っても意味がない…「いや。奪われてるな」




はぁ?どこからそんな自信がくんの?



頭平気か?こいつ。



「…あんた達の誰かにあたしの心を奪われる…とでも?」


「ま、そう言うことだな」


「…………せいぜい頑張れ…」


「言われなくても、な。じゃあ俺部屋戻るから」


「おう。食器さんきゅ」


「いーえ。なんかあったら番号登録しておいたから呼べ」


「…………………は?」


「じゃーな」



――――――キィ…パタン…―――――――




………と、秋川皇雅が出ていった。








―――――――――――てか。






< 29 / 172 >

この作品をシェア

pagetop