毒舌に惑わされて
私は両手をあげて大きく伸びてから、ゆっくりとベッドを下りた。

その時、またスマホが鳴る。今度は大倉くんだ。


『莉乃ちゃん、おはよう!いい天気だよ』


「おはよう。いい天気なのは知ってるよ」


だから、バーベキューなのだ。まだ外を見てないから本当はどんな天気か知らないけど。


『莉乃ちゃん、機嫌悪い? 何かあった?』


「ううん。何でもない。大倉くんこそ朝からどうしたの?」


関係のない大倉くんに八つ当たりしてはいけない。


「うん。デートしない?この前、途中だったし」


途中までのデートは、続きが気になる。大倉くんはあの美術館の後、何をしようとしていたのだろう。しかし、大倉くんはいつもタイミングが悪い。


「ごめんね。今日は先約があって無理なの」


実のところ、その約束は破りたい気分だ。でも、そんなことをしたら、あの姉弟は激怒する…。


「そうなんだ。残念だけど、また今度誘うね。あ、明日はどう?」


「ごめんなさい。今日、泊まりなの」
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