毒舌に惑わされて
信号で止まった聖也がハンドルを握ったままでこっちを向く。


「それは男として? 大倉さんのこと、どう思っている?」


「大倉くんはしっかりしているし、一緒にいて楽しいし、気持ちが穏やかになれる人かな」


「結婚したいと思う?」


「結婚ねー、具体的には考えたことないけど、きっと楽しい結婚生活が送れるとは思うかな。って、何で結婚?」


「特に意味はない」


聞いといて意味はないって、本当に分からない男。


「莉乃ー。遅かったわね」


「ごめんねー」


葉月の家に到着したから、聖也との会話はおしまい。これ以上盛り上がらない会話を続ける気分ではなかったから、到着してホッとした。

葉月の家の庭にバーベキューコンロが置かれていて、マスターが肉や野菜を焼いていた。


「こんなお肉食べるの久しぶり。美味しい!」


私は、次から次へと入れられる肉と野菜をどんどん食べる。朝ごはんを食べていなかったからお腹はペコペコだった。


「よく食うな。食べたら腹筋しないとやばいぞ」
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