毒舌に惑わされて
「ごめん。ありがとう」


何だか照れる。顔が熱くなっちゃう。


「ちょっと待ってろよ」


聖也は私を椅子に座らせると、カウンターの中に入った。


「ほら、飲んどけ」


私の目の前に置かれたグラスには透明な物が入っていた。


「水?」


「こんなとこで酔っ払いに絡まれたら迷惑だからな」


このイケメン、優しいのだか冷たいのだか分からない。でも、焼けた喉と熱い顔を冷やしたかったから冷たい水をもらえたのは嬉しい。


「うん、ありがとー」


冷えた水を飲んで、頬杖を付いた体勢でジッと前に立つ聖也を見る。


「そんなとろんとした目で見られても、俺は落ちないぞ」


「へ? 別に落とすつもりなんてないから」


「じゃあ、何で見てるんだよ」


「かっこいいなと思って」


かっこいい男は見るだけでいい。


「ふん。かっこよくたって、好きな女に好かれなくちゃ意味ないし」


「あら?もしかして、振られたの?」


「うるせーよ。お前に関係ない」


不機嫌なイケメンがますます不機嫌になった。
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