毒舌に惑わされて
どうやら図星らしい。こんなかっこいい男でも振られるのか。


「それでヤケ酒?」


「うるさい」


何だか拗ねる顔がかわいくて、撫でたくなる。手を伸ばして…


「おい、何してる?」


「いい子いい子してるのよ。だって、かわいそうなんだもん」


振られてかわいそうなイケメンの頭を撫でてあげる。


「バカにするな。やめろ…」


イケメンは少し顔を赤くして、手を振り払おうとする。


「そういえば、名前何だっけ? 教えてよ」


私は撫でる手を止めないで、聞いた。


「聖也だ。いいから離せよ」


「何聖也?」


「佐久間聖也」


「佐久間ー。あ、そっか。葉月の旧姓よね?私は安藤莉乃。よろしくね」


撫でていた手を離して、握手を求めた。


「何でよろしくされなくちゃいけないのか分かんねー」


「葉月の弟なんでしょ?そういう意味でのよろしくだけど」


「ふーん」
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