毒舌に惑わされて
「何してる?どこに行く?」


「聖也……」


「あれ?この前の…」


野村くんも『fantasy』で会った聖也のことを覚えていた。

でも、何でまた、聖也がいるの?


「おい、莉乃? そんな男にのこのこ着いて行って、何するんだ?」


「のこのこ……何って?」


何をするのだろう?

私だって、よく分からない。でも、このまま野村くんの部屋に行けば…何が起こるかなんて、大人ならある程度予想は出来る。


でも、拒否することなくここまで来たけど、このまま入っていいのか分からない。私はどうしたいのだろう。


「やっぱり莉乃はバカだな」


呆れた声を出す聖也は私の手を野村くんから離した。


「何だよ。勝手に入ってくるなよ」


勝手に横から入って来るなんて、普段穏やかな野村くんだって、大人しくしていない。


「莉乃は今から俺んちに行くから」


「えっ? 何で? そんな約束なんてしてないし」
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