毒舌に惑わされて
慌てる私は2人の間に挟まれる形となり、野村くんと聖也の顔を交互に見た。


「約束?そんなのはいらない。俺が来いと言ったら、来ればいいんだ」


はい?

何よ…その俺様的な言い方は……聖也は私の肩を抱き、引き寄せる。


「そんなにもそいつの部屋に行きたい?」


「えっ?行きたいわけではないかな……」


「安藤さん……」


野村くんが悲しそうな顔をする。

ちょっと冷たい言い方をしてしまったけど、そんな顔されると困る。だって、了承もなしに連れてくるんだもの。


「安藤さん!」


「はい!」


野村くんが切羽詰まった顔で寄ってきた。なんか焦っているようにも見える。


「お願いです!これから俺の部屋にきてください」


「いや、あの……」


「ダメだ。行かなくていい」


肩を掴んでいる聖也の手に力が加わる。


「決めるのは、安藤さんです」


そうよ。決めるのは私。聖也が口出しするのはおかしい。

さあ、私が決断しよう。今すぐに!


「莉乃はバカだから、正常な判断が出来ない」
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