毒舌に惑わされて
「いいから、莉乃は感じていて」


耳元で囁く声は初めて聞く少し甘い声。

私の心臓はドキン!と跳ねて、ぼんやりしていた頭が冴えた。

感じてって、どういうつもりでそういうことをするの?

モミモミ…

コリコリ…

聖也の手は堪能するべく好き勝手に動く。その動きが気持ち良く感じてしまい、私の体は反応していた。

聖也は男であって、私は女。年下であっても性別が違うことは今の状況で思い知らされる。

こんな形で感じたくないと思っていても、体は正直なものだ。


「感じている莉乃、かわいい」


初めて与えられる甘い言葉に私の心まで持って行かされそうになる。


「莉乃、こっち向けよ」


聖也に背中を向けていた私は向きを変えられ、向かい合う。私好みの顔が目の前に現れた。向かい合うと顔がものすごく近い。

十分近いというのに、聖也の顔はさらに近付いてきた。

そうしたら、どうするかなんて分かり切っている。私は目を閉じて、正面から来るキスを受け止めた。

柔らかいその唇は角度を何度か変えて、深いキスへと導く。
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