毒舌に惑わされて
うまい…。

聖也はキスがうまい男だった。

やばい。

このキスに心までが奪われそう。


モミモミ…キスをしながら、胸を触る男。その先も期待出来そう。

私の体はその先を求めだし、手で聖也の後頭部を支え、離れないよう押し付けた。


肌と肌が重なり、期待した通りの気持ち良さと時々囁かれる甘い声に酔いしれた。

とうとうしてしまった。でも、後悔は不思議とない。

終わった後、聖也の腕の中で丸くなる。


「莉乃、猫みたいだな」


「だって、ここ気持ちいい」


「それは残念だな」


「えっ?」


突然、聖也は起き上がった。

丸くなった私はそのまま放置された。布団も剥ぐから寒くなる。

何で? もっと気持ち良くしてよ。


服を着る聖也を見上げる。朝になってきていて、カーテンの隙間から朝日が入り込んでいた。


「そんな目で見てもダメだ。俺も今日、仕事だから戻って支度するし。ふっ、そんなに良かった?」


意地悪な声で笑う。
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