sweet heart
第一章 平凡な日々
-2027年―

『桃奈~今日どうすんの?』
「んーじゃあ8時にいつもんとこで。」
『おっけー★』

あたし桜木桃奈。高校2年生。
中学の頃染めた金髪に、耳にはたくさんのピアス。
学校に行く時は、いつも私服で、夜には友達の芽亜と
バイクで出回っている。
見た目は、頭が悪そうに見えるかもしれないけど、
実際はそんなに悪くない。
外見だってよく、かわいいって言われる方だ。
だけど、あたしは今まで恋愛経験がない。
まあ、あたしが恋愛に興味がないっていうのも1つの原因だけど。

今日も、芽亜と夜に遊ぶ約束をして学校を出た。
少し歩くとあたしの家で、学校と近くて行きかえりも楽。
あたしは、ポケットの中から鍵を出し、家に入った。
普通の家庭だったら、「ただいま」とか「おかえり」とか
そんな声が聞こえてくるんだろう。
でもあたしの家はそんな声なんて聞こえてこない。
むしろ聞こえてきた方が、あたしの家にとってはありえなかった。
兄弟はいなくて、1人っ子。
お父さんもいなくて、お母さんと2人暮らし。
でも、そのお母さんもほとんど帰って来ないので、毎日ほぼ1人。
例え帰ってきたとしても、言葉は何1つ交わさない。

8年前。
お母さんもお父さんも、その時はまだ家にいた。
でもある日、お父さんはあまり帰って来なくなった。
あたしとお母さんは心配で、毎晩探し回ったりもした。
でもその数日後、「お父さんが浮気していた。」と
お母さんから聞かされた。
その日を境に、お母さんとお父さんはあまり帰って来なくなった。
そう。その日から、あたしも変っていった。
そしてついに、「お母さんとお父さんは離婚したんだよ」
という事をお母さんから聞かされた。
もちろんあたしは、それが嘘だと知らずに・・・。
それから、お母さんは毎日お金を机に置いてくれている。
「ありがとう。」最初はそう思っていた。
だけど日が経つにつれて、そんな気持ちもどこかへと消えて行った。
こうして、あたしは段々悪い方向へと進んでいった。

ふと我に返り、時計を見るともうすぐ8時。
ウソ!もうこんな時間?遅刻する・・・!!
そうしている間にあの人が帰ってきた。
あの人とは、お母さんだ。
あたしは特攻服を着て、財布とバイクのカギを持って家を出ようとした。
が、あの人に捕まった。

『桃奈。どこへ行くのこんな時間に。』
「どこって、てめえに関係ねえだろ。」
『もう遅いんだから今日はやめておきなさい。』
「いいから離せよ。」
『そんな格好でどこに行くのよ。
お願いだから前みたいな優しい桃奈に戻ってちょうだい。』
「はあ?今更何言ってんの?ほんとウザイんだけど!!
つーかさ、今更母親面すんな!!誰のせいだよ!!」

あたしは、何も分かっていないあの人を1発殴って
バイクにエンジンをかけて走り出した。

「今更なんなんだよ・・・」

あたしは、この時あの人が元に戻ろうとしていた事に
気づけなかった。
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