恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】
「気持ちいい?」

彼の穏やかな問い。私を思いやる深い愛情。
こんな愛情誰もくれなかった。

誰一人私をそういう風に見てはくれなかった。
この人はこんな私にそれを無償でくれる。

それに気が付いたとき込み上げてくるものを留めることができなくなった。

最初はポロポロとつたっていたものが、一気に溢れるように出て
顔がぐちゃぐちゃになる。

その様子に彼が手を止めた。

「ごめんね。頼りなくって。不安になった?もう大丈夫だから。
でももう、泣かないで。ひなは一人じゃない。何があってもそばにいるから」

彼は、抱擁をゆるめた。
私を微笑んで見つめながら流れる涙の一粒一粒をさっきとは違い優しい面持ちで愛おしそうに拭う。
そのしぐさに胸が温かくなり安心感を覚えた。



そして彼は大胆に、奔放に、でも丁寧に、私の全てを魂に焼き付けようとしていた。

このまま

彼に溺れていいの?

彼を頼っていいの?

彼を信じていいの?

私はそれでいいの?


「ここで大声でなかせるわけにはいかないけど」

「いつか死ぬほど…」

祈りにも似た、その行為は最後、二人を天国まで導いた。
現実には2人で行くことのかなわないかもしれない所。
でも私達はお互いを必要としていた。



その日彼は泊まらずに帰った。
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