恋の賞味期限 愛の消費期限(Berry’s版)【完】

吉報を待つ

「帰りました。ご迷惑かけました」

みずき君は先に部屋に入り、みんなにあいさつして回る。

「すみません…」

私も彼の後ろについて謝って歩こうとする。

「相良さんは、まだ体調良くないんだから
座っておいた方がいいよ。謝るのくらい僕でもできるから」

彼は、私をデスクまで追い込み、無理やり座らせる。

「帰ったな。すぐで悪いが二人で会議室まで来てくれるか?」

課長から声がかかる。

「相良さんは体調がまだすぐれないので僕だけでもいいですか?」

「いや、楽にしていたらいいし、それでもえらいようなら
途中いつでも退室してくれて構わないから、とりあえず二人で来なさい」

そう言いながら、こちらを振り向くこともなく課長は会議室に向かう。

私は重い腰を上げて、彼と一緒に会議室に向かった。


静まり返った会議室。密室に3人になると、課長は静かに話し始めた。

「君たちに聞きたいことがあるんだが…」

「僕からも課長に聞いていただきたいことがあります」

彼は、何を話す気なのだろう…
と思った。

「じゃあ、まずは、私からでもいいか?」

「はい」

みずき君は背筋を伸ばし、課長の話を聞く姿勢になった。
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