「わかってるってば」
真夏の繁華街

もうどれくらい待っただろうか・・・

この暑い街中で、30分も待っていたら

フラフラしちゃうよ・・・バカっ。

ゆうきはなかなか来てくれなかった。

LINEを入れてみるが反応ナシ。

「答えてよ・・・」

「ふえ~・・・もうダメ~」

場所を移そうと歩き出した私。

ふと、私の手を取る男がいた。



「凛。」


その手は感触が落ち着く。

振り返ると同時に

抱きしめられた・・・・


「ゆうき・・・」


その笑顔は本当に嬉しくって

私は、思わず泣いてしまいそう。

ゆうきはそっと耳元で囁く。

「ただいま」

う・・うん・・・

「わかってるってば・・・」


!おかえり!

こんなに強く抱きしめられたのは久々だったから・・・


温かい。もう少しだけこうしてて。

「うん」

その後は時間を取り戻した恋人のように

繋いだ手は

この日は離れることがなかった。

「離したくないもん」

「俺も・・・」

どんなカップルより熱い。そんな夜だった。
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