桜色ノ恋謌
「……で、高橋さんはどうするんですか?」


あの後、山猫軒からは遠く離れて市街地に向かい、ホテルに近い昔風の洋食屋さんに連れて来られた。

近くにはファミレスもあったんだけど、人目を気にした結果、あんまりお客さんが入ってなさそうな店がいいってことになって。




さっき餅料理を食べた倉木さんは、ここではコーヒーを注文しただけだった。



それなりに空腹だった私は、メニューの見た目が美味しそうなオムライスにする。うん。


高橋さんはここでもコーヒーだけにしようとしたから、倉木さんが高橋さんのために無理矢理トーストを注文してあげてた。



……優しいじゃん、倉木さん。



それでそれで、どうなったんだろう?


私からいきなり二人に聞き出してもいいのかな?



「……そんな顔しなくても、今から説明するわよ」


隣の椅子に座った高橋さんが、苦笑しながら私を見て言った。

倉木さんも、吹き出しそうな表情をしていて。


なにこの疎外感。

なにこの雰囲気。


やだ私、お邪魔じゃない?



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