桜色ノ恋謌
「……何も考えないで。悩まないで。悩ませようと思って、今日は誘ったわけじゃないから。ただ……」

「……ただ、何?」


顔を上げて鳥羽さんをみつめてその答えを待った。



「咲絢に対しての想いに、けじめをつけたかっただけ、だから。そしたら明日からはちゃんと、マネージャーとして咲絢に向き合うつもりだ」

「……できるの?」


鳥羽さんなんて仕事ではミスが多いのに。うっかりしてるし頼りないのに。


「咲絢は絶対潰さないように守るから。……とか言っても、今まで何もしてやれなかったけどな」


自嘲的に笑う鳥羽さんに、何故か笑えて思わず吹き出した。


「ホントだよね。マジで頼りないマネのくせに、守るとかあり得ないってば」


くすくす笑いがいつしかツボにはまって大爆笑になってしまった。



だって、陽菜乃ちゃんに振り回されて担当してた新人モデルのマネージメントも上手くいかなかった鳥羽さんが、私を「守るから」って。




どんだけビッグマウスたたきますか、って感じなんですけど。



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