桜色ノ恋謌
「…咲絢の今のドラマがアップしたら、お披露目も兼ねて外国旅行にでも行ってみなーか?」

「は?外国?」

「そう。向こうの取引先とのパーティがあるから、そこで関係者やマスメディアに披露したいと思ってる。つっても、まだ咲絢の事務所の社長達には話してはいないけど。とりあえず、咲絢の希望を先に聞いとこうと思ったんだけど。まだ駄目か?」

「え…っと、今はドラマの方が優先だから、まだそこまで考えられないよ…」



全くの不意打ちで、恭哉に将来のことを話されると、先行きが見えなくてますます不安になってしまう。




…私が手を取るのは、恭哉でいいの?



後悔、しないの?



そんな考えがぐるぐる頭の中を堂々巡りしてる。




後悔しないって、だって私にはもう選択権はないのに。


鳥羽さんへの思いは断ち切ったのに。




何より、恭哉は私のためにここまで来てくれたんだから。



何度目かもわからない、無限のループがまたしても私を苛ませる。




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