きれいな恋ばかりじゃない
ーー放課後。

結果は・・・・

「負けた・・・圧力に」

先輩に近付くことも出来ず、周りのお姉さま方が怖くて一歩を踏み出すことも出来なかった。
今日はテスト明けの打ち上げで、お姉さま方やお友達とカラオケに行くらしい。

「うぅ・・身分違いの恋ってこんな感じなのかな」

「・・・現代日本に階級制度はないし、あの人は普通の人だよ」

「!?」

まさか独り言に返答があると思わなかったからびっくりして、首が痛くなりそうな速さで振り向いた。

「松原くん?」

何故かそこには、同じクラスの松原海(まつばらかい)くんがいた。
温厚でふわふわした雰囲気のイケメンで、常に微笑んでる印象がある人で、目立たないけどファンが結構いるらしい。

そんな松原くんが三年のフロアになんでいるんだろう?

「大塚さんって、あの人のこと好きなんでしょ?俺が協力してあげるよ」

「はぁ?」

いきなり何を言い出すのかこの人は。
ていうか、あの人って先輩のことだよね・・・何で知ってるの?

「いつも教室で話してるよね?それにさっきも」

「盗み聞き!?」

「いや、俺となりの席でしょ?だから不可抗力」

「うぅ・・」

は、恥ずかしいーー!
もしかしてクラス中にだだ漏れだったりしないよね・・・?

「悪い話じゃないと思うけど?弟に頼れば確実でしょ?」

「え?先輩って兄弟いたの!?」

「え?正真正銘、あの人・・松原絋斗の弟だよ、俺」

「えええええ!?あ、そういえば名字同じだ!!」

「まさか、知らない人がいたなんて」

松原くんは呆れた顔をするけれど、だってまさか兄弟いるなんて知らなかったし、しかもその弟さんがとなりの席だとか、夢にも思わないよ・・!!

「ね?心強いでしょ?」

「よろしくお願いしますっ!!」

もうとにかく何でもよかった。先輩に少しでも近づけるなら・・・。



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