Sympathy For The Angel
「会いたくないヤツに会わなきゃいけないんだよね、今日」

除け者にされると美優紀が勘違いしてはいけないから、私は八神諒に会わなくてはならない事を美優紀に話した。




「それって、昨日の留守電の人ですか?」

「うんアイツとは関わりたくないんだよね……」



痛いほどの沈黙が私達に訪れる。


「断れないんですか?」

それが出来るのならそうしてるんだけどさ。

「椿さんに元気がないのは見ていて悲しくなります」

ぱくっと白米を口に入れた美優紀がそう言った。


………ん?待てよ?


八神諒は何も『二人で』会おうと言ったわけではなかったはず。


それなら……。


「……ね、美優紀?」

「はい、何ですか?」


素直に応える美優紀を巻き込むのは気が引けるが、背に腹は換えられない。


「今日さ、私と一緒に着いてきて欲しいんだけど、駄目?」

「えっ!私が、ですか……?」


目を丸くして驚く美優紀に焦って言い訳をする。


「ソイツさ、私にちょっかい出してきたりして、何を考えてんのか分かんないヤツなんだよね。樹もソイツの事を嫌ってるし。二人きりで会うのが嫌なんだよ。だから……」

「……分かりました。椿さんが困っているならお手伝いしたいです。でも本当にお邪魔じゃないですか?」


意を決して私の無理な願いを承諾してくれた美優紀に感謝!!


「逆だよ逆。邪魔して欲しいの!」

「……そうですか……」

「ごめんね。ちょっと居心地悪いかも知れないけど、美優紀が着いてきてくれれば私も樹も助かるの」

「樹さん…もですか?」


そう、と頷いて私はおかずに箸を延ばした。




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