Sympathy For The Angel
美優紀が着いてきてくれるとなると、途端に食欲が沸く現金さ加減。

急に胸の支えが下りた私は、最後におかわりまでして朝食を食べ終わった。





「え…。嘘。これが私……?」

私のお古の、アイボリーとブラックのツートーンカラーのボウタイ付シフォンワンピを着せた美優紀は、案の定可愛かった。

そして艶やかな黒い髪を緩やかに巻き薄くメイクも施すと、それだけなのに別人のように変わっている。

これにもこもこコートを着せれば間違いなくお嬢様風で、放っておく男はいないだろうな。



「美優紀の素材がいいから下手に弄らなくても、充分可愛いよ」



私の言葉にボッと火がついたように赤面して、美優紀が顔を隠すように手で隠した。

「椿さんは、どんな格好ですか?」

「は?これで行くよ?」

「えっ!?」


美優紀が驚くのも無理はない。


私の格好ときたら、少し厚手のカットソーにダブルジップアップのパーカー、そしてストレッチデニム。上にはコートを羽織るけど。

色は総じてダーク系だ。


「だって樹とのデートにだって可愛い系なんて着たこと無いのに、他の男と会うのにスカートなんか絶対履かないよ」

「樹さんと、いつもデートしてるんですか?」


興味津々の様子で美優紀が尋ねてきた。


「昨日は久し振りかな?中学の頃はよくしてたけどね」

「えー!じゃあお二人がお付き合いはじめたのは、いつ頃なんですか!?」

真依のようにきらきらした瞳で、美優紀が私をみつめている。


「中2の時。樹から告られたんだよね」


苦笑しながら美優紀にそう答えた時、インターホンが鳴り響いた。






< 113 / 150 >

この作品をシェア

pagetop