Sympathy For The Angel
すると陳列棚の一番下に、埃を被った30センチ程の小さな箱が置いてあるのに気がついて、思わずそれに手を伸ばす。

それは、誰からも忘れられた物のように、ひっそりとそこに存在していた。

何が入っているのかを確かめたくて、その箱を手に取って埃を払い、ラベルを見てみると……。


「……ビーズ織り機……?」


封をされていない箱が傷まないよう、ゆっくり蓋を開けて中身を取り出すと、『それ』は小さなはた織り機みたいな形をしていた。


「なんかイイかも」


こういう懐古的な物が好きな私としては、ちょっと……いや、かなり気になる品物だ。

「幾らだろ?2000円?」



使い方は分からないけど、部屋のインテリアに置いてみたい。



再びその織り機を箱に戻すと、私も『それ』を持ってレジに並んだ。
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