Sympathy For The Angel
「ここからバイト先に直接行くから。じゃあ、また明日ね」

「おー。バイト頑張ってね」

大通りの交差点で、エリカとは別れた。

「椿さん、手芸品店に寄りたいんですけど良いですか?母親に糸を買ってこいって頼まれたんで……」

真依はまだ機嫌が治らないのか、じっとりと上目遣いで私を睨んでいる。


だからそういうのは司にやってやれっつの。


「いいよ。ノナカヤでしょ?大通りの」

はい、と頷いて真依がぴったり後ろにくっついて歩く。

「なんで後ろを歩いてんの?」

「だってまた誘導尋問されたらヤですもん」

「もう言わないってば。ごめん」


真依の頭をぽんぽんと軽く叩いて、大通りの手芸品店に入った。

店の中は意外にもかなり広くて、およそ手芸道具とは無関係そうな品物も沢山並んでいる。


「……何これ?」

「椿さん知らないんですか?これウィッグってやつですよー?」

「いや、ウィッグは知ってるけど、何で手芸品店にこんなのあるの?」

「………私にもよく分かんないです。…何でだろ?椿さん、被ってみません?」


全力でご遠慮致します。


「先にレジに並んできますね」

目的の品物をみつけた真依が、軽やかな足取りでレジへと向かって行った。


奇抜なパーティグッズの横には、ビーズやラインストーンが陳列されている。

ラインストーンで作られた携帯のデコレーションに思わず見惚れて、フラフラとその棚に近寄ってみた。


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