Sympathy For The Angel
「ハヤトには指名客がいたり同伴したりするの?」

「いや……。キャッチにも出るんですけど自分そういうの慣れてないんで……」

「そっか。まだ女の子と遊ぶよりヤンチャしてる方が楽しいんだ?」

はい、まあ…と歯切れ悪くハヤトは口を濁した。


きっと美優紀の事が心配で、彼女なんか作れないんだろうな。

早く美優紀には良くなってほしいよ。




私達が家に帰ると、玄関の鍵がもう開いていた。

土間口には美優紀の可愛らしい靴が揃えてある。


「ハヤト、上がって?」

「いや、自分はここで」

「美優紀にも顔を見せてやんなよ。嬉しいと思うよ」


それならと言ってハヤトは礼儀正しく靴を脱いで、いそいそとリビングに入った。


「椿さん、お帰りなさい」

そういう美優紀は既に私服に着替えて、夕飯の準備をしていた。


「お前大丈夫か?椿さんに迷惑かけてないか!?」

「迷惑なんてかけてないよ。美優紀のお陰で私の食生活が向上したし」


ハヤトと美優紀をソファーに座らせると、昨日買った茶菓子とコーヒーを用意した。



「今日は蘭の溜まり場に行くから。多分これからも毎晩そこには行くけど、ハヤトはどうする?というか、アンタどこに住んでんの、今」


コーヒーに砂糖を入れる手を止めて、ハヤトが私の方を見て言った。


「紅蓮に同じ時期に入った仲間のアパートっす。家賃は二人で出してます」

「そっか。じゃあ住む所は問題無いんだね」


美優紀を見ると、安堵の表情でハヤトをみつめている。

自分の兄の事が心配で仕方なかったんだね。




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