桃橙 【完】
「ここじゃなきゃ部屋を貸すことはできないよ?」


「…えっ、」


「そうだろ?保証人とかないのに…ほら、ここは俺の持ち部屋だからいいけど、どうする?」


「あ…あの、じゃあ…」


「ん、じゃあ荷物とか運ぼうか」



俺は水嶋さんに微笑んだ。



「…荷物って?」


「うん、どこかに預けてたりするんだろ?どこ?」


「…荷物は、ありませんけど、」



至極不思議そうに言葉を返す水嶋さんに俺は、思わず気が抜けてしまった。



「はぁ?」



彼女の身なりを見ても、小さな鞄一つだけ。


どうゆうことなんだ…。
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