静かな涙【完】
私がシャワーから出ると、浩司は寝そべっていた身体を起こした。




「おいで。真弓」
そう言って微笑む。




私は、トクトク唸る心音を手に感じながら、浩司の胸に飛び込んだ。




引き締まった身体に大きな安らぎ感を感じる…




『浩司…』




私達は、今までの空白を埋めるかのように、何度も口付けを交わした。





何度も何度も…





浩司の大きな手が優しく身体を包む。





嬉しいはずなのに…






何故か私の瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ちた…





浩司が私の涙を優しく拭う。





「真弓…ごめんな…」





小さく呟いて、優しくキスをする…。





私は、首を横に振りながら浩司の唇に重ねた…

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