椿山亜季人の苦難日記
顔を隠すようにして、下を向く千歌の横に座った。


頭を撫でたまま。



ぽつぽつと、彼女が話したことは、強がりや後悔で、


『慣れないことするの、本当はつらかった。』



その言葉に、はっとした。



ずっと、もやもやしてた。



慣れないことをしてる千歌は、楽しくなさそうで、


そんなことじゃ、幸せになんかなれないから。




どうあっても、自分らしくいて欲しい。


分かってくれる奴はいるから。


好きなことをやっていて?


「ん、もういいよ。自分を失っちゃだめだよ。」



一つ、頼みごとをした。








力不足とか、ずるいとか、知ったこっちゃない。




珍しくふるわせるその背中を、


ほかの誰でもなく、自分が支えたいと、思ったのは事実だ。





それが、俺の一つの我が儘。








< 123 / 169 >

この作品をシェア

pagetop