椿山亜季人の苦難日記
下に降りて、そいつの背中をただ見ていた。



座り込んで、スケッチブックに必死に何か描こうとしてる。

上を向いたり、下を向いたり、


「笑えっ・・・。」


自分に言い聞かせるような声に、嗚咽が混じった。



あぁ、泣いている。





俺に気づく気配のない千歌。




震える背中。




はぁ、と息をはいて、俺はゆっくりと歩を進めた。


















千歌の理想は、ガッシリしてて、

楽天的で、長身で、


俺とは、真逆で…



でも、自分じゃ、力が足りないとか、


つけこむようで、ずるいとか、

知ったこっちゃない。




うつむく彼女の頭に、そっと手をのせた。







「パンツ見えてるよ~。」


…マジで。
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