椿山亜季人の苦難日記
「気持ち悪い顔してたかな!?」


「何言ってんの!…なんか時々ぼぉっとしてるときあったから、それよりよっぽどいい顔してる。」


「千歌…。」


「なんかあったら言ってきてよ、一人で抱えこんで潰れられたら怖いからさ。」

千歌は、照れたように頭をかく。


「…あのさ、その…アキさんと何かあったの?」


おずおずと、千歌は恥ずかしそうに訊いてきた。


「どうして?」

気にしているんだ。そんな千歌が可愛くて、少しおどけて返した。


「えっ、いや…なんとなく。」


「亮介くんのノートにいたずらしていただけだよ。」

笑いながら言うと、千歌は、あまり納得はしてないような、微妙な表情をしていた。


すると千歌は、いきなり立ち止まって、キョロキョロと、左右前後を確認して、私の方へ向き直った。


真面目な表情をして。

< 73 / 169 >

この作品をシェア

pagetop