君がいた夏
湯船に入って、しばらく時間がたっている。
そろそろ出ないとのぼせてしまいそうだけど、なんとなくまだこうしてぼーっとしてたい。
……ああ、わかった、私は今、感傷に浸りたいんだ。
そうわかった瞬間、自嘲的な感情が込み上げてきて、私は笑うように息をもらした。
だって、一人で感傷に浸りたいなんて、悲劇のヒロイン気取ってるみたい、馬鹿みたい。
私がこんなにウジウジした性格なんだから、陽平に裏切られるのも仕方ないんじゃないかな。
事情があったとかなかったとか、そんな下らない妄想で理由をつけても、
『また明日な』って言った、その言葉が嘘だったことは紛れもない真実で。
……そしてまた、思い出してしまう、あの日の私を。