空の下の約束
目の前に先生の顔。


流れ出てしまいそうな涙を我慢しながら布団で顔を隠す。


あんなこと言えない!絶対に言えない!


「何でもない!退院の時間までユックリしてるから先生は早く仕事に戻って!もう迷惑かけないから!」


そこまでいうのが精一杯だった。


ごめんね、先生。先生にあたっちゃった事に申し訳ない気持ちで一杯だったけど、今は泣いてる事を悟られる方が問題でしかない。


星野は布団をはがそうと手をのばしたがやめることにした。


泣いていることは分かってる。


目にいっぱいの涙を溜めて布団の上からも震えてるのか分かった。


抱きしめたい…


えっ?自分で思った事が信じられなく戸惑ってしまう。


「また来るね…」


そう一言つげ、しっかりと気を引き締めナース室へと向かった。

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