空の下の約束
人笑いした後私の歩幅に合わせながら星野はユックリと病室まで付いてきた。


その間何にも聞いてこない星野にホッとしつつ、聞いてくるかもしれないと言う不安もあったが、何も聞かれることもなく病室についた。


病室につくと直ぐに横にさせられ、聴診器をあてられる。


真剣に私の心臓の音を聞いてる横顔はナースの言うとおり素敵だった。


切れ長の目は何でも見通してるような気さえする。


本当女性に事欠かないんだろうなぁ。


そんな事を思っていると、聴診器を耳からはずしながら


「そんなに見つめられると照れるんだけどね」


そう言って微笑んだ。


綺麗…本心からそう思ったら思わず口に出してた。


「天使みたい…」


一瞬驚いた顔した星野だったが、すぐに切り返してきた。


「天使はナースでしょう?僕は…そうだなぁ、ある意味悪魔だよ」


ナースが天使?さっきのナースの会話を思い出し胸を締め付けられるような感覚がおそった。


「飯田さん?どうかした?」


また心配そうな顔。


私のことなんて心配しなくていいのに…


ほっといていいのに…


「お医者さんは大変だね。こんな私のことまで面倒みなきゃならないなんて」


ふとそんな言葉がでてしまった。


「美空ちゃん?…何があったの?」


後悔したときは遅かった。
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