どこからどこまで
「そういえば、ネクタイしなくていいの?いつもしてないけど」
早くもフレンチトーストをたいらげたあたしは、ヨーグルトに手をのばしながら疑問を口にした。
ヨーグルトを引き寄せたところに翔ちゃんがジャムを置いてくれる。プレーンのヨーグルトにブルーベリーのジャムを入れるとおいしい。
"ありがとー"とお礼を言いながらジャムをスプーンでヨーグルトの中へ落とした。
「いつも直前にするんだよ。今の時期、暑いし」
「ネクタイってそんなパパッと結べる?」
「俺の高校、ネクタイだったでしょ?だからだよ」
「いいなあ~。あたしのとこはリボンをパチンッてするだけだったからなあ、ボタンで」
「あれはあれで可愛かったけど」
「でもやっぱりネクタイって憧れるよ」
そうだ、憧れなのだ。今までの人生の中でネクタイをしたことが一度もないということでもあるが、やはり女子なら男子がネクタイを緩める瞬間に憧れを抱くというかなんというか。
ヨーグルトを軽くかき混ぜながらグルグルとそんなことを考えていると、翔ちゃんの手の中に、いつの間にかネクタイがあった。
「結び方、教えようか?」
「え、いいの?」
「時間あるし」
「教えて~」
「じゃあ、こっちおいで」
手招きをされてヨーグルトとしばしの別れ。軽く手を拭いて、あぐらをかく翔ちゃんの前に正座をする。
何が面白いのか翔ちゃんはまたクスクスと笑っていた。
「…何?」
「なんでもないよ」
「翔ちゃん、なんか今日、変だね」
「さなに言われたくないよ」
「えー、酷い」
腹が立って"ネクタイきつく結んでやる"と言ったら更に笑われた。まったく何がそんなにおかしいんだか。
「ほら、教えるからやってみて」
「…はーい」
ワイシャツの襟の下にシュッとネクタイを通すと、その端と端を持たされた。
"こっちを下にして、"とか、"今度は上からくぐらせて、"とか、一度では覚えられそうにないが、なんとかかたちにはなった。
不格好だけど。
「うーん……難しいね」
「慣れだよ、慣れ」
それでも納得がいかなくて、なんとかして整えようと、結び目をいじってみる。
早くもフレンチトーストをたいらげたあたしは、ヨーグルトに手をのばしながら疑問を口にした。
ヨーグルトを引き寄せたところに翔ちゃんがジャムを置いてくれる。プレーンのヨーグルトにブルーベリーのジャムを入れるとおいしい。
"ありがとー"とお礼を言いながらジャムをスプーンでヨーグルトの中へ落とした。
「いつも直前にするんだよ。今の時期、暑いし」
「ネクタイってそんなパパッと結べる?」
「俺の高校、ネクタイだったでしょ?だからだよ」
「いいなあ~。あたしのとこはリボンをパチンッてするだけだったからなあ、ボタンで」
「あれはあれで可愛かったけど」
「でもやっぱりネクタイって憧れるよ」
そうだ、憧れなのだ。今までの人生の中でネクタイをしたことが一度もないということでもあるが、やはり女子なら男子がネクタイを緩める瞬間に憧れを抱くというかなんというか。
ヨーグルトを軽くかき混ぜながらグルグルとそんなことを考えていると、翔ちゃんの手の中に、いつの間にかネクタイがあった。
「結び方、教えようか?」
「え、いいの?」
「時間あるし」
「教えて~」
「じゃあ、こっちおいで」
手招きをされてヨーグルトとしばしの別れ。軽く手を拭いて、あぐらをかく翔ちゃんの前に正座をする。
何が面白いのか翔ちゃんはまたクスクスと笑っていた。
「…何?」
「なんでもないよ」
「翔ちゃん、なんか今日、変だね」
「さなに言われたくないよ」
「えー、酷い」
腹が立って"ネクタイきつく結んでやる"と言ったら更に笑われた。まったく何がそんなにおかしいんだか。
「ほら、教えるからやってみて」
「…はーい」
ワイシャツの襟の下にシュッとネクタイを通すと、その端と端を持たされた。
"こっちを下にして、"とか、"今度は上からくぐらせて、"とか、一度では覚えられそうにないが、なんとかかたちにはなった。
不格好だけど。
「うーん……難しいね」
「慣れだよ、慣れ」
それでも納得がいかなくて、なんとかして整えようと、結び目をいじってみる。