湊くんの秘密。
やっぱ、この湊くんがいい。
あたしに甘えてくれるような湊くんがいい。
「だから先輩たちに、俺は犬っぽいって言われるんだろうなあ」
独り言のように言っていたから、なにも返事をしなかった。
そっか、犬か。
湊くん、笑った顔も犬っぽいもんね。
妙に納得したはいいけど、その犬っぽい湊くんに撫でられてるあたし。
普通、飼い主が犬を撫でるもんでしょ。
…まぁいいか。
湊くんが可愛いからなんでもいいや。
あたしって、単純。
「飼い主さん、これからもよろしくな」
「ん。お手」
冗談でそう言うと、ははっと笑って頭を軽く叩かれた。
「…わん」
「…!」
…これだから、可愛い愛犬くんは困る。