恋愛ターミナル
そのまま抱きかかえられた私は、いくら早朝とはいえ、数人の通行人の痛い視線を受けながらマンションへと到着した。
朝だと言うのに、そのまま盛り上がってしまったのは言うまでもなく……。
けど、久しぶりに重ねた身体と手は私の全てを満たしてくれた。
何度もキスをして、手を繋いで寝た私たちは、せっかくの休日を夕方過ぎまで夢の中で過ごしてしまった。
そのくらい、私は全てに於いて、満たされてたんだ。
「おはよう」
「おお……おはよ」
翌朝、リズムが崩れた私たちは眠い目をこすり合って挨拶を交わす。
何事もなかったかのように、二人でいつもの朝を迎えたけど、今日は珍しく徹平も朝ご飯を一緒に食べた。
「……これからは朝メシ、食ってから行くようにすっかなー」
「また。どうしたの急に?」
「んー。最近、会社の上司とかからさ。『子供との時間は大事にした方がいい。朝食は必ず一緒に取るとかな』って言われて」
「ふーん……」
「っと、でも今日は時間ヤベッ! ごちそうさま! 行ってきます!!」
最後の目玉焼きをかっこんで、ばたばたと用意をして徹平は出て行った。
しん、となった部屋で、もくもくと残りのご飯を平らげた私は、徹平の分と一緒に洗い物をする。
「子供との時間」って、そんな話、徹平なに急に影響されてるんだろう。
別に私子供出来ただなんて言ったわけじゃないし、出来てないし。
そんな上司の言葉を受けて、変わろうって思ったなんて、変な期待しちゃうでしょ。
「……でも、いいのいいの。私たちは私たち。ひとそれぞれなんだから」
もう少しだけ。もう少しだけ、徹平を待ってみよう。
そしていよいよ私が待てなくなったら、逆プロポーズしてやるんだから!
そしたら、後生言ってやる。
「『男のくせに女に言わせた意気地なし』って」
きゅ、っと蛇口を止めて呟くと、私も慌ただしく準備をして家をあとにした。