恋愛ターミナル

――もう、なんか、そんなことどうでもいいや。

合コン行った、とか、記念日がどうとか、プロポーズがどうとか……。
高校(ここ)に来て、思い出した。

今の私も、あの頃の私も、気持ちは同じ。願うことはたったひとつ。


「悔しいけどっ……やっぱりテッペーが好きっ。ずっと一緒にいたいっ」


明日も明後日も、10年後もその先も。
未来の自分がどう変わるかわからないけど、今の私は、素直にそう思うから。


徹平の胸にうずくまって言うと、恥ずかしくて顔を上げられない。
ぴたっとくっついている徹平の鼓動が、少し速まった気がしたときに首にまわされていた手に力を込められる。


「――バーカ。そりゃおれのセリフだっつーの!」


ちょっと乱暴に胸の中から引きはがされて、距離が出来た私は徹平を見上げる。
乱れてたであろう私の髪を整えながら、徹平は照れた顔で笑った。

さっきよりも高く昇ったお日様の光に注がれる。
ゆっくりとまた近づく徹平に、私もそっと背伸びをする。


「見られちゃイヤ、なんじゃないの?」
「……ほんと、意地悪」
「ははっ! やーめた!」
「えっ」


唇がもう少しで重なりそうだったのに、徹平が急に言って私の肩に手を置く。
そして、次の瞬間「きゃあっ」と声を上げた私。


「ちょ、な、な、な――――!!」
「こんなとこで止められなくなったらヤバイし。帰ろうぜ!」
「止めっ…………」


8年経つのに変わらない無邪気な少年ような笑顔。
けど、その言った言葉の意図してることを想像して、こっちが赤面しちゃう。

こんなふうに抱っこなんかされたこともない。
まさか、こんな20代後半で辱めにあうなんて――……でも、心の底では嬉しくなってる自分が素直に徹平の首に手を回してた。


「凛々、痩せた?」
「え? どうかなぁ? 仕事忙しい時期だったから……でもわかんな」
「や、いいや。これから確かめるし」
「――この、エロ坊主!!」




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