恋愛ターミナル


いつもより30分余裕を持って起きる。
大体いつも、ランチは外食かコンビニ。だけど、小さなころから料理をしなければならない環境下にあった私には、基本的なことくらい出来る。


「こんなもん?」


たまご料理はするけど、お弁当も持っていかない私は、たまごやきは久しぶり。
やっぱりちょっと手間だし、それなら朝は、目玉焼きかプレーンオムレツにしてしまう。

まな板に置いた、あまいたまごやき。

冷めたあとに、綺麗に等分すると、一切れ口に放り込んだ。


「……あま」


いや、砂糖の量が多すぎたとかじゃなくて。
あまいたまごやきっていうのを口に入れたのも久しぶりで、そんな感想だ。

小さめのタッパーに残りのたまごやきを入れ、ついでに昨日作ったハンバーグの残りをおべんとうサイズにしたものを入れてみた。


……まぁ、食べ物はどんな人間でも、貰って嬉しいよね。
たまごやきも、絶対ゆうとくんのお弁当には入り切れない量だけど、あのお父さんも食べるでしょ。
私はお弁当じゃないし、甘いのはさっきの一口で充分だし。


紙袋にそれを入れて家を出る。


出社時間に合わせて届けに行って遅くても困るし。幼稚園て何時からなのかわかんないし、早めに越したことはないでしょ。


タンタンタンッっと階段を下る。

あの日、ゆうとくんのお父さんに聞いた部屋番号は103。
私は202で、斜め下ということがわかった。
あの日の声は、あっちが窓を開けてたから聞こえてきたんだと思う。

103の表札を見上げてから、インターホンに指を添える。


イマドキ、家族でも表札って出さないのかな?
一人暮らしはほとんど表札つけてるの、見たことないけど。

なんか、本当に合ってるのか不安……。
こんな早朝に、間違ってたら相手にも変に思われるし。


そのまま躊躇っていたら、玄関の奥から賑やかな声が聞こえてきた。




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