恋愛ターミナル
「スバルー。おれ、もう焦げたウインナーいらないよー」
5歳児が呆れながら物をいうなんて。
そんなシュールな図を朝から見せてもらってかなり貴重な体験をしてるな、私。
散らかった廊下を歩きづらそうにしているゆうとくんを見て、そのあと自分の手にある届け物に視線を向けた。
――あの様子だと、結果が散々なのが目に浮かぶわ。
本当におせっかいなのはわかってるけど、この玄関から居間に続く廊下だけ。
そしてこれをささっと渡してから戻ろう。幸い今日は早起きして充分時間はあるから。
「ゆうとくん、ちょっと、いい?」
「うん」
一応家の人の承諾も得て、まずは足場を埋めているペットボトルをごみ袋に戻していく。
すると、途中でゆうとくんも手伝ってくれて、すぐに半分綺麗になった。
収納スペースをそっと覗くと、段ボールとか紙袋とかいろいろあって、とりあえずひっぱい出すだけ出した、って感じ。
結局これで、目的のものはみつけたんだろうか?
「ゆうとー! 乾燥機からハンカチとエプロンと出せっ」
うわ……ほんっとぎりぎりな……。
そう言って、洗面所を覗きにドアを開けてやってきた彼と、収納スペース前でしゃがみこむ私は目が合った。
「うわ! え? なに? もしかして……綺麗にしてくれてたの?」
「や、なんか勝手に……ところで、結局アイロンは見つけたんですよね?」
「へ?! ああ!! そうだった!! 結局ねーんだった!!」
「スバルー。だしたけど、これ、しわしわわー」
――――世の中のお父さんて、みんなこんなもんなの?
朝は戦争だって耳にしたことはあるけど、まさかそんな言葉通りの状況に遭遇するなんて。
「あと2日だ! ゆうと! 男らしく、そのまま使え! 大丈夫、洗ってはあるから!!」
「えぇー……」
「貸して。私がアイロンかけてきてあげるから」
二人のやりとりを見ていたら、自然にそう言ってた。
だってもうなんか、ほっとけない! それに内容が、たまごやきとかアイロンとか、そんな簡単なことなんだもん!
私が手を出すと、ゆうとくんがお父さんの顔色をうかがって躊躇ってる。
その視線を向けられてるお父さんを見てみると、同じように判断しかねて迷っているから、私は少し声を張り上げて言った。