恋愛ターミナル
「……結婚か。予定では、去年か今年に結婚して、翌年には出産してたんだけどなぁ」
苦笑して言った独り言を、晃平さんは黙って聞いてるみたいだった。
「23,4までは仕事や趣味に専念して。25には運命の相手と出逢って。結婚するまでは、同棲とかはナシで、健全に付き合って――」
そして、26でみんなに祝福されながら、新たな一歩を二人で踏み出す。
そんなのは、平凡な幸せだと安易に考えてた私の未来予想図。
それがこんなにも現実には難しいものだなんて。
「結婚する年は思い通りにならなくても、これから幸せな未来がくるでしょ」
「えぇー……そうですかね……男の人って、こういうことの理想とかはないもんなんですか?」
謙遜してるわけじゃなくて、心の底から、自分の未来に自信がない。
そんな自分の話をするのがなんだか怖くて、晃平さんに話を振った。
私から車内のどこか遠くを見るようにしながら、晃平さんは答えてくれた。
「さぁ。他のヤツがどうだかわかんないけど。オレは、やっぱり好きな子と一緒にいて、守ってあげたいし、支えてもらいたいかな」
「わぁ……いいですねぇ」
とっても。それに「守ってあげたい」とかって、やっぱりなんだかんだ女の子は言われたいものだよね。
一人妄想の世界に浸かっていると、いつの間にか私の家に着いたらしいタクシーが車を停めた。